そのドローンをウクライナとロシアの両方に売って儲けているのが中国です。従って、ウクライナ戦争で一番、儲けているのは中国ですか?
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https://www.bbc.com/japanese/67191996
ウクライナ、戦地でのドローン不足を懸念 中国の輸出規制で
2023年10月24日
ウクライナでの戦争はドローンが広い範囲で使われた最初の軍事紛争となっている
ウクライナでの戦争ではドローン(無人機)が威力を発揮しており、同国とロシアの双方が大量に利用している。しかし、中国が最近、輸出規制に乗り出したことから、供給に問題が生じうるとの懸念が出ている。
ウクライナで使われているドローンの多くは中国製の市販品だ。戦闘で大量に失われるため、補給が不可欠だ。
しかし、ウクライナとロシアのどちらにとっても、入手可能な中国製ドローンとその部品の数が減っているとみられる。
ロンドンのシンクタンク、王立防衛安全保障研究所(RUSI)は、ウクライナがひと月に失うドローンを約1万機と見積もっている。
それらを補充するため、ウクライナでは多くのボランティア団体が寄付金を使って活動している。
戦闘では、軍事用に開発されたドローンと共に、商用ドローンが多用される。軍事用としては、ウクライナが使っているトルコ製「バイラクタル」や、ロシアが使っているイラン製「シャヘド」などが知られる。
中国の輸出規制
ドローンをめぐっては中国が、重さ4キログラムを超える長距離ドローンや、ドローン関連機器(一部のカメラや無線モジュールなど)の輸出規制を決定。9月1日に実施となった。
これにより中国のメーカーは、輸出にあたって、許可の取得と最終使用者証明書の提出が義務付けられた。中国政府はまた、中国製の商用ドローンの軍事目的での使用を禁止した。中国はロシアのウクライナ侵攻を非難していない。
ウクライナ人のボランティアや兵士らは、中国の新たな規制について、今のところはドローンの入手にほとんど影響を及ぼしていないと話す。なかでも、広く出回っている中国DJI製の軽量機「マヴィック」には影響が見られないという。
ウクライナは中国DJI製のドローン「マヴィック」を多用している
とはいえ、部品の供給は影響を受けており、今後状況が悪化する恐れもあるという。
「現時点での唯一の変化は、ヨーロッパの倉庫に残っている在庫を積極的に買っていることだ」と、ウクライナ軍にドローンを供給している同国最大規模のボランティア団体「ディグニタス」のリーダー、リューバ・シポヴィッチさんは言う。「だが、今後どう動くかは不透明だ」。
彼女が特に懸念しているのは、熱感知カメラなどの部品を手に入れられるかだ。
「日が短くなって夜が長くなっていることから(熱感知カメラの入手の可否は)軍への供給に間違いなく影響を及ぼす。ウクライナは熱感知カメラをあまり持っていないため、影響は戦争の進め方全般にも及ぶ。私たちの部隊は夜間、目が見えなくなっている状況だ」とシポヴィッチさんは話す。「これは、熱感知カメラを搭載した市販のドローンと部品の両方に影響する」。
部品入手の可能性がどれくらいあるかは、自らドローンを組み立てたり、購入品に手を加えたりする人にとっては、特に大事な問題だ。
「影響は感じる。中国が(輸出には)許可が必要としたことで、ウクライナはドローン部品の入手が難しくなっている」と話すのは、ベラルーシ人の義勇軍「カストゥーシュ・カリノーウスキ連隊」の上級ドローンオペレーターだ。「Oddr」というコールサインのこの人物は、「それでも私たちは、ドローンがこれまでと変わらず機能するよう代替物を探している」と話す。
ロシアとウクライナのそれぞれ軍のためにドローンを調達しているボランティアたちは、こうした新たな難題に直面している。
ヨーロッパ代理店の取扱量が急減
世界最大の商用ドローンメーカーのDJIは、昨年2月のロシアによるウクライナ本格侵攻から2カ月後、両国への直接販売を停止した。また、世界中の代理店に対しても、両国の客にDJI製品を売ることを禁止した。
前出のシポヴィッチさんによると、ヨーロッパの代理店が入手できる中国製ドローンの数は、昨年8~9月に急減したという。
「たまたまそうなったとは考えにくい。ヨーロッパはウクライナ人にとってのドローン輸入元だ」
DJIはBBCの取材に対し、ヨーロッパの代理店が手に入れられるドローンの数に変化があったことを肯定も否定もしなかった。
一方、BBCはイギリスでDJI製品を販売している10社に接触を試みたが、この問題についてコメントした企業はゼロだった。
米紙ニューヨーク・タイムズの調査によると、中国企業はここ数カ月、ウクライナ人へのドローンや部品の販売を減らしているという。
ロシアにも影響
影響を受けているのはウクライナだけではない。
ロシア紙コメルサントは、「中国当局がドローンの輸出に課した制限により、ロシアへの供給が深刻に複雑化し、熱感知カメラなど一部の部品が不足している」と書いた。
直接の供給を受けられないため、ロシアの買い手は中央アジア・カザフスタンなどの国で中国製ドローンを購入することが多い。コメルサントによると、カザフスタンは独自のドローン輸入規制を強化し、事態をさらに複雑にしているという。
ウクライナのボランティアらは、中国の規制の影響を最小限に抑えようと、西側諸国とウクライナの両方で、中国以外の国で製造された代替品を熱心に探している。
ドローンの調達を支援するアナトリー・ポルコフニコフさんは、ウクライナの新興企業にドローン用モーターの生産開始を準備する動きがあると話す。
彼は将来を楽観していると言う。「今回の中国の規制が、全体状況に影響を与えるとは思わない。長期的には、ウクライナにおける生産を促すことになると思う」。
ウクライナでの戦争は、ドローンが広範囲かつ大量に使われた最初の武力紛争だ。そして戦っている双方が、広範囲かつ大量に使い続ける決意でいる。