衆議院は一票の格差2倍であり、参議院は一票の格差3倍である。従って、衆議院と参議院では主張が異なる国会議員が選ばれ、衆議院と参議院が対立し、法案が通らない事が有る。
もちろん、そういう事も有ろうかと、憲法は第五十九条に於いて、衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。としている。
しかし、衆議院で2/3以上の可決はハードルが高く、多くの法案は通らない事に成る。その場合、解散総選挙に成るが、例え、解散総選挙をやっても、衆議院は一票の格差2倍であり、参議院は一票の格差3倍である事に変わりは無いのであるから、結果は同じであろう。
そこで、打開の手段として、第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
を利用する事に成るが、国民投票には各議院の総議員の三分の二以上の賛成が必要に成るのであるから、ますますハードルが高く現実的ではない。これでは八方塞がりではないか?この憲法には根本的な欠陥が有るようだ。
それに例え、国民投票で決したとしても、その決定には数学的矛盾が有る。国民投票には一票の格差が無いからだ。つまり、整理して考えれば、衆議院は一票の格差2倍であり、参議院は一票の格差3倍である。そして国民投票には一票に格差が無い。
そして国民投票による決定が最も権威ある正当なものとされているわけだ。つまり、一票に格差の無い投票が最も正しい投票とされているわけだ。それなら、最初から衆議院も参議院も一票に格差の無い投票にすれば良いではないか?
そうしないのはおそらく、一票に格差の無い投票が正しいと言うのは論点先取りだからだろう。確かに、一票に格差の無い投票が正しいと言うのは証明されていない。証明されていない事を最初から正しいと決めつけるのは論点先取りである。
しかし、それなら、衆議院は一票の格差2倍であり、参議院は一票の格差3倍であるが、この格差の有る投票が正しいと言うのは証明されているか?これもまた論点先取りではないか?
これが国会の数学的矛盾ですね?
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